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大学選び その1

 本欄は、いわば“賢い消費者”のための情報コーナーだ。

 いまは大学受験もたけなわである。そこで、ちょっと毛色を変えて、(今年の受験生にはちょっとばかり遅いが)、「賢い消費者として大学選び」を、今日から数回、考えていくことにしよう。

 費用対効果を考える

 賢い買い物かどうかは、まず第一に、払う代金に見合う価値があるか、という観点から考えられる。
 そのような観点でいうと、はっきり言ってほとんどの大学には“経済的な価値”はない。たとえ医学部だとしても「原価割れ」である。
 つまり、ほとんどの大学の場合、入るために払った金額と出るために払う金額を回収できるほど労働単価あたりの給料が高い仕事には就けない、ということである。

 大学を出るかどうかで初任給が倍も違う国もある。しかし日本は、高卒で入って4年経った人と、そんなに大差ない給料しかもらえないのだ。医者はどうかといえば、入るにも通うにも大変な金額がかかる上に、労働強度は大変にキツイものとなる。しかもほとんどの勤務医の給料は働きに見合うほど高くない。開業するには多額の資金が要る上に、経営を成り立たせるのも一苦労。医学とは違った才能が必要になってくる。

 ではなにかしらの「いいこと」もないのか。おそらく、4年に一度の国勢調査とか何かのアンケートの時、「大卒」というところにマルを付けるときにちょっと自己満足する、その程度の意味しかないと思ったほうがいい。

 こんな話をするのも、大学を目指している多くの人は、「大学に行かなきゃならない」と思い込んでいるからだ。その上で、かなりの人が「行く意味が分からない」と嘆いている。

 でもホントは、どこかに理由があると信じており、誰かが説得してくれるのを待っている。
 
 はっきり言おう。理由はありません。あなたは行かなくていいんです。

 そう言われて不満だとすれば、実はあなたは「いやいや」行こうとしているのではなくて、ホントはとっても大学に行きたいのだ。理由もなく、行きたいのだ。だとすれば、勉強する理由が分からないなんて言わないで、がんばることにしてはどうだろう。これから、大学に行く合理性がない場合について述べるが、合理性がないから行ってはいけない訳ではない。登山のようなものだ。好きだから登る。経済的な合理性なんてない。同じように、理由もなく大学に行きたい。それでもいいのだ。だが、それを自覚しておいたほうがいい。もし、「トクになるから行くのだ」と思い込んでいるのなら、ここから述べることを読んだ上で、ほんとに自分の場合トクになるか考えて、それで行く意味があると思ったら、行ったらいいのである。

 いきなり夢のないことを書いてしまったが、もちろんすべての人にとって大学が不経済だとは言わない。ある特定の人々が、ある条件をクリアした大学選びをするなら、経済的にも合理性は出てくる。

とても優秀な人の場合

 とても優秀な人は、大学に行く必要は、ない。
 それは、いまや、大学に行かなくてもいくらでも勉強ができるからだ。

 ほんの少し前まで、ちょっとした文献や学術論文をよむためだけでも、大学の図書館に入れる学生証には価値があった。しかし今や、最新の論文はどれもインターネットで読める。それどころか、MITのような超一流大学が、すべての講義をインターネットで公開している時代なのだ。本気で勉強したくて、なおかつホントに優秀なら、大学に行く必要はない、と言い切ってしまおう。

優秀でない場合

 逆に、はっきり言ってそんなに優秀ではない場合はどうか。
 つまり、ソコソコ以下の大学しか行けない場合だ。
 そのレベルの大学に行ったからといって、就職に有利、ということはまずない。
 就職がなくて専門学校に入り直す人さえいるのだ。就職を考えるなら、はじめから、きちんとスキルが身に付く専門学校に行った方がいい。

ソコソコ優秀な場合

 お世辞抜きで「いい大学に入りましたね~」と言われるレベルの大学に入れる実力がある場合はどうか。すでに書いたように、ホントにホントに優秀なら、自分で勉強したほうが費用対効果は高い。それができなくて、しかし「いい大学」に入れる学力がある層だけが、辛うじて「大学に行く価値のある」人々ということができる。

 その場合でも、大学選びを間違うと、たいへんなことになりかねない。早ければ入学直後、遅くても就職活動を行なうときには、自分が大学選びを間違ったという事実に直面させられることになる。

 そこで次回は、その、行く意味のある層の人が、どう大学を選ぶか、という話に進むことにしよう。

2009/02/06(金) | 大学・進学 | トラックバック(0) | コメント(1)

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2009/02/07(土) 23:24:56 | | [ 編集]

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